「ウクライナの避難者を佐渡保養に招きたい」 クラウドファンディング事業報告

 2024年8月22日から27日まで、佐渡保養センターへっついの家でウクライナの親子3名と通訳の方をお招きして保養を行いました。きっかけは、今年のお正月にウクライナからの女性避難者Eさんが佐渡へっついの家に遊びに来られ、それが縁で夏にも来たいということになり、クラウドファンディングでお金を集め実現しました。

 しかし、Eさんは夏は都合が付かず、代わりに千葉に住むウクライナの避難者親子3人がやってくることになりました。

 8月22日、やって来たのはウクライナのお母さんと5歳と3歳のやんちゃな男の子、それに通訳の村山敦子さんです。この時期は保養の参加者はみんな帰ってしまい、スタッフのみでした。お母さんは日本語を話せませんが、子どもたちは幼稚園に通っていて日本語を話せます。ただ、文化、生活習慣も違うせいか困惑する事やトラブルがたびたびあって大変でした。

 
こどもは裸足で庭を駆け回り、「靴を履け」と言っても聞かず、揚げ句の果てに足を切って大泣きする始末です。ご飯もほとんど食べなくて、牛乳とか果物だけで困りましたが仕方ありません。どう対処したらいいのか、、、。

 いろいろ迷いましたが、基本、へっついの家でやっているスタイルのままでやりました。ご飯の前には「太陽と大地と、海のめぐみと~」という「いただきます」の言葉や、お茶わん洗いをやってもらいました。

 でも、遅くまでゲームをやっていて「寝なさい!」と言おうとしましたが、お母さんも一緒にやっているみたいで難しい。そんな中、海に行ったり、夜は歓迎のマンドリンのコンサートを地元の音楽家を招いてやって喜んでもらいました。ただ、下の子どもには受けず、騒ぐので叱りました。

 それでも5日目には慣れて名前を覚え、「すみちゃん」、「ぴーちゃん」とお互いを呼び合うようになりました。だが、折しも大型台風が発生し、船が動かなくなる前にと8月27日、急遽、帰ることになり、村山さんやスタッフの今野寿美雄さんが同行し新潟へ。無事、千葉に帰ることができました。

今回、無事にウクライナの人の受入れを終えることができましたが、言葉やら文化の違い、子どもとのコミュニケーションの取る事の難しさもあり予想外に大変でした。そもそも、保養期間がひと月以上と長くなってスタッフは疲れていて余裕が無く、受入れ側の課題を感じた保養でした。

 それでも、ウクライナの子どもたちは帰ってから「頂きます」を言い、お茶わんも洗うようになったとのことです。何か感じたものがあったなら幸いです。

 最後に、ウクライナの人の保養受入れのクラウドファンディングにご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。募金は旅費や滞在費、保養の経費に充当させていただきました。ありがとうございました。以下に上げたのは、ウクライナの親子を受け入れた時のことを書いた詩です。良かったらお読みください。

☆☆☆
「夏の終わり」
2024年9月28日
福島の 子どもが帰った その後に
ウクライナの子どもと お母さんがやって来た

日本に避難して2年 お父さんは まだ戦場

3歳と5歳の兄弟 なかなか やんちゃ
はだしで走り回って 竹藪で足切って大泣きだ
「だからクツ はけって言ったべ」 と
叱って薬ぬったが すぐにケロッとしてる
おらのこさえたごはん
口に合わないのか 桃しか食わない
「おらにもモモ食わせろ」 すると
ひとかけくれて 「皮もおいしいよ」 と言う
「なにい まず お前が食って見せ」と返すと

ニっと笑って 桃をパクパク

下の子は 家中 走り回ってやかましく
上の子は ゲームに夢中で 夜遅い
ま これは 日本の子どもと同じか
歓迎の マンドリンのコンサート
つまんないんのか イスでバタン バッタン
「うるさい騒ぐな」とおらは怒って お母さんにも叱られて

やんちゃなわらしは しばらくは しょんぼり

それでも5日目 たがいに慣れて こどもが
「スミちゃん」と呼ぶと
コンノさん「はーい」とこたえ
「ジョニーさん」と呼ばれたら おらは「あいよ」って返事し
だんだん 仲よくなっていったのだが
台風が来るっていうから 保養は切り上げ

みんな船に乗って 千葉へ帰っていった夏の終わり

原発難民のおらたちが 戦争難民を引き受ける
いやあ 簡単でなかった だども
ウクライナの子たち 家で「いただきます」と
お茶わん洗い やるようになったってさ
何か 伝わったんだべが
だとしたらいいない
☆☆☆
「ウクライナの避難者を佐渡保養に招きたい」クラウドファンディング事業報告
【期間】 7月9日〜8月20日
【目標額】 20万円
【集まった寄付金】 合計57万3千円
【使途】 ウクライナの親子3人の旅費、滞在費
及び、佐渡へっついの家夏保養の経費へ充当
(※ライフケアは8月決算のため、次年度の会計期間は2023/9/1~2024/8/31になります。
2023年度の会計については、2024年8月31日の決算終了以降に報告させていただきます。)
【会計から】
佐渡へっついの家の夏保養の参加費用は、経済的に余裕があるご家族だけでなく、いろいろな境遇の子どもたちに参加してもらいたいという思いから、1日3食の食費すべて込みで、一泊2,000円という金額設定を守り続けています。
一方で、3.11から13年がたち、もともと少なかった保養への公的な支援や助成金は減り続け、そうした力に頼ることは、ほとんどできなくなりました。
へっついの保養を続けるために、スタッフはみんなボランティア。
 毎日の食材の買い出しに行く時は、野菜の値段の高さにため息をつきながら、子どもたちの身体に良いものを食べさせたいと、葛藤しながらの買い出しを続けています。
通しで滞在しているメインスタッフは交代要員がいないため、休むことなく1か月以上にわたる長期夏保養を縁の下で支え続けてきました。
へっついの保養はみなさまからのご支援で、なんとか継続できているというのが現状です。
わたしたちも仲間で力を合わせて、楽しみながら、これからも精いっぱいの努力を続けます。

皆様のご指導、ご鞭撻、ご支援を引き続き賜りますよう、心からお願いもうし上げます。

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